無題

いつからこんな風に、笑えるようになったんだろう。

自然と動く表情、
次々に湧きあがる感情。

楽しい、嬉しい、大切にしたい　…傍にいたい。

マネキンのように冷たかった。
操り人形のように、空っぽのまま生きていた。

そんな頃からは想像もつかない自分。

独りでいることが好きだった。
2人でいることの方が孤独を感じて、辛くて…

誰かが笑いかけてくれるたびに、
何気なく触れられるたびに心が荒んだ。

そんな自分がいたはずなのに…。

いつの間に、こんなに人間らしくなったのだろう。

誰かの傍にいすぎたのかもしれない。
きっと、今はもう…あの頃には戻れない。

戻ったらきっと、心を殺してしまう。
寂しくて、哀しくて、狂ってしまうかもしれない。

 

これ以上、近づいて行ってしまうことが恐ろしい。

近づけば近づくほど、
好きになって、大切になって、依存してしまう。

もしも、その誰かが目の前からいなくなってしまったら…

嫌われてしまったら、
死んでしまったとしたら、
何かの理由で離れて行ってしまったら…。

考えるだけで、おかしくなってしまいそうだった。

『だから、一歩が踏み出せない？』

「ううん、痛みを恐れて躊躇していたら何も変化しない…。
わかってる…、つもりなんだけどね…。」

時々、余計な感情が邪魔をする…。