無題

雪が降り積もる無色の世界……

冷たくて…、音のない土の中で全てが眠っていた。
わかるのは…土の冷たさ。まわりの世界の静けさ……。

雪が降るたび　心も冷たく……すこしずつ凍っていった。
感覚が麻痺して…、あまりの冷たさにこの雪は永久にとけないとさえ思えた。



…・・その雪をとかしたのは…　　「鮮明な春」だった…。



曇る空に陽がさした。温かい日差しをうけて雪はとけはじめた。
眠っていたたくさんのものが……、芽吹き始めた。

しかし、春は遠ざかる……　いつも、いつも…。


早く…、早く戻ってきて。　その温もりで　雪を…　ト　カ　シ　テ　。
じゃないと……全てが…　ま　た　凍　りついて　眠　っ　て　しまうから……。